それでもあなたはインプラントをしますか?

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それでもあなたはインプラントをしますか?

インプラント治療は、失った歯を蘇らせる画期的な治療法です。
しかし、メリットだけではありません。以下のようなデメリットもあります。

1、インプラント手術のデメリット

そもそも手術は大前提です。

血圧が高い方、糖尿病や腎疾患などの持病がある方は、手術が出来ない場合もあります。手術ですから、術後の腫脹や出血は多少なりともあります。それらを点滴などで最小限に防いでくれるクリニックをお勧めします。

チタンでも体質に合わない方がいます。

重度金属アレルギーの方の0.6%にチタンの陽性反応がみられた(※1)、というデータがあります。チタンでも金属アレルギーは存在します。陽性反応だからインプラントが出来ない訳ではありません。現在では、ジルコニアのインプラントもありますので、取り扱いしているクリニックでの相談をお勧めします。

(注1):Sicilia Alberto, Cuesta Susana, Coma Gerardo, Arregui Ignacio, Guisasola Cristina, Ruiz Eduardo, Maestro Antonio Titanium allergy in dental implant patients: a clinical study on 1500 consecutive patients Clinical Oral Implants Research19(8)823–835、2008

骨が弱い方や少ない方は出来ない場合もあります。

インプラント手術時に、骨粗鬆症でお薬や注射をしている場合はインプラント治療が出来ない場合もあります。ただし、健康な時にされたインプラントが、将来骨粗鬆症になったからと言ってダメになる分けではありません。また、骨が少ない場合は骨移植や骨造成が必要になる場合もあります。他方、ザイゴマインプラントと言って頬の骨に埋入する難易度の高い特殊なインプラントもあります。骨が弱い、少ないからインプラント治療が出来ない分けではありません。経験と実績の多いクリニックなら何らかのソリューションがありますので、諦めるのはまだ早いです。

子供や妊婦は出来ない?

女子16歳、男子18歳頃までは骨格が未成熟なので、インプラント治療は出来ない場合があります。また、妊婦は安定期であれば出来ない訳ではありませんが、術中の点滴や術後の投薬が不可避なので、リスクは大きいです。いずれも、少しの期間待てば可能となりますので、無理にインプラントをする必要はありません。

2、治療費や治療期間のデメリット

保険適応外にて高額

ご存じかとは思いますが、インプラント治療は健康保険適応外にて、自由診療になります。相場は1本30~60万です。それらを高いと取るか安いと取るかは、ひとによって捉え方が異なるとは思いますが、明らかに健康保険の治療と比べたら高額です。インプラント治療を考えている方は、それらの金銭的な準備が必要です。

銀行系よりデンタルローンがお得?

クレジットやローンを考えているなら、ちょっと待ってください。銀行のプロパーの融資なら別ですが、銀行系のフリーローンと言っても中身は信販会社のローンだったりします。意外とデンタルローンの方が銀行系のフリーローンより金利手数料が安かったりしますので、「あいみつ」を取り寄せての比較をお勧めします。

ブリッジや可撤性義歯と比べると治療期間は長い?

インプラントは他の治療法と比較すると一般的には長くかかります。長くかかるのは嫌な方にはお勧めしません。しかし、条件が揃えば、即時埋入即時負荷と言って、「その日から噛める」インプラントの治療法もあります。これは、他の治療法と比べても明らかに、時間的なアドヴァンテージがあります。ただし、難易度の高い治療法ですので、施術できる歯科医師が限られてきます。

3、治療後のデメリット

メンテナンスは絶対に必要です。

インプラントは骨に埋めて、上に被せ物をしてハイ終わりではありません。生涯にわたってのメンテナンスは必要です。清掃性や持病、素材などで期間は変わってきますが、定期的なメンテナンスを受けることで、インプラントの寿命は長くなります。

一生涯持つ訳ではありません。

インプラントは、定期的なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎と言って、インプラントの周りの骨を溶かしてしまいます。酷くなると、撤去しなければならなくなります。また、上の被せ物も経年変化で劣化してきますので、いずれ交換が必要になります。上物は天然歯の被せ物と同じで、一生持つという訳でありません。筆者の経験では、15年位で上物の交換が必要になってくることが多いようです。また、その時に多少金額が発生しますので、その準備も必要です。いずれにしても、これで終わり、一生大丈夫と楽観視するのは危険です。

4、大学病院が最先端で優れている?インプラントは新人の実地訓練?

大学の方が開業医と比較して最先端で、技術的にも優れていると思われている方が多いと思います。必ずしもそうとは限りません。多くの大学は、最先端の技術や材料を導入する際には、数々の手順や委員会等を踏まなければなりません。そのため、開業医より先端技術の導入が遅くなるのは当然です。もちろん、精査検証する事は重要です。しかし、海外で長年の実績があり、安全性が確立されていれば簡素化しても良いかとは思います。縦割りだから仕方ありませんが。
また、歯科の場合は人材も適当に育成された頃には辞めて開業するので、臨床の現場は新人の実地訓練の場とかしている大学も見受けられます。よく言えば実地訓練ですが、言い方を替えれば「人体実験」です。教授が絶対権力を持っている大学病院では、命令には逆らえません。実際、筆者のところにも「裏口紹介」で、大学ではやれないAll-on-4(オールオンフォー)やザイゴマの患者さんが送られてきます。また、中堅医局員が非公式でオペの見学に来たり、甚だしいと特殊な器具器材まで貸し出す事もあります。筆者の私見として大学は、ことインプラントに関しては、最先端の優れた開業医と比べて特に優位性はありません。
(注)あくまで一般論であり、固有の大学を指すものではありません。

デメリットだけではありません、メリットもあります。

以上のような、デメリットもありますが、インプラントはメリットもたくさんあります。

よく知られているメリットとして

  • ブリッジのように天然歯を削る事が無い
  • 義歯のバネ、スプリングが無いので見た目が良く、虫歯にもなりにくい。
  • ブリッジ、義歯と比較して咀嚼能率が高い
  • 審美的にも優れている

あまり知られていないメリットとして

  • 残存している天然歯を守る事が出来る
    そもそもブリッジのように何でもない歯を削る事が無いので、それだけでもインプラントの功績は大きいです。それ以外に、インプラントによって、咬合圧が分散されるので、力学的にも天然歯を守るメリットは大きいです。
  • 認知症の予防
    歯がある人と、そうでない人では、残存歯数が多いほど認知症になりにくいというデータがあります。咬合の維持は脳神経系にとってもとても重要です。可撤性義歯よりも、インプラントブリッジの方がより脳への刺激が強いというデータもあります。
    (参考文献)
    Association between oral condition and general health status in the elderly Masahiko Kikuchi
    Division of Comprehensive Dentistry, Tohoku University Hospital Tohoku University dental journal 2006-12-01


  • 発音
    言うまでもなく、義歯と比較すると内側の異物感は少なくなります。よって発音障害もインプラントでは高い確率で改善することが可能です。
  • アンチエイジング
    インプラントにすると、機能面の改善だけでなく、精神的にも変化が現れます。取り外し式でないだけで、精神的に若がえります。笑うとキラッとバネが見える入れ歯では、どんなにエステやメイクでごまかしても口元で興醒めします。同窓会で、昔の憧れの人の前ではそんな姿見せたくないですよね。友達との旅行で、寝る前に入れ歯を外した顔を見せたくないですよね。
    インプラントは強力なアンチエイジング治療です。

それでも貴方はインプラントをしますか?

デメリットもあるインプラントですが、他方で、人生観まで変えるメリットも存在しています。不安な方は、経験と実績のあるインプラント専門医のいるクリニックでの相談をおすすめします。