歯科の広告に騙されるな

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歯科の広告に騙されるな

レビューは信用できるの?

一昨年(令和元年)の10月2日、NHK『クローズアップ現代』で取り上げられましたが、Amazonのレビューについて「やらせ」が多く、所謂口コミだけでモノの良し悪しを判断するのは危険であると、国民への警鐘を鳴らしていました。同番組では日本人は、情報に左右されやすい国民性でもあるとも指摘しています。
Amazonに限らず、Googleの口コミや他の口コミサイトも同様です。

私たちは「オフィシャルの情報」、「アンオフィシャルの情報」を理解して選択する必要があります。口コミやレビューの匿名性が高ければ高いほど、情報の正確さを欠く可能性も高いのは皆さんもお分かりかと思います。
Amazon、Googleなどのサイト運営者が悪いのではありません。不正確な情報を発信する側と、疑いを持たない受信する側の問題です。
日本人に必要なのはメディア・リテラシー(注1)です。歯科においても同様です。
「うそぴょん」、「誇大」、「まぎらわしい」が蔓延っています。広告に騙されないためにも、次の点に注意してください。

注1:【メディア・リテラシー】
メディア・リテラシー(Media Literacy)とは、インターネットや新聞、テレビなどが発信する情報を見きわめ、理解・活用する能力のこと。膨大な情報の中から必要なものを取捨選択するという観点から、広義には「情報リテラシー」を指す。政府は、特に放送分野のメディア・リテラシーについて、「主体的に読み解く能力」と「メディアにアクセスし、活用する能力」「メディアを通じコミュニケーションする能力」の3要素による「複合的な能力」と定義している。

高い評価が多いレビューって実は「やらせ」?

評価の低い匿名レビューというのは、接客が悪い等のネガティブな心象に対して、その不満を公表したいという心の現れです。つまり、他の人にも自分の不満を聞いてもらいたい、という気持ちだと思います。 反対に凄く感動するような良い事があって、他の人とも分かち合いたいというポジティブな気持ちの人も投稿するでしょう。
しかし、最低でも最高でもなく、評価が普通(5段階で3の評価)だったらまず投稿しないでしょう。
人間ですから良い評価も悪い評価もあるのが当たり前です。ポジティブ(良い)評価しかなく、マイナスがひとつも無いのはおかしいと思いませんか?
自作自演の「やらせ」の可能性が疑われます。
何故そう思うか?をこれから説明します。

「★★★★★(星5)を付けてくれたら値引きします!」って?

以前ホントにあった話です。
患者さんから「ここでは、レビューに良い記事書いたら値引いてくれないのですか?」と言われたことがあります。
どうやら、その患者さんは別の歯科医院で良い評価を書く条件として値引きを提示されたようです。患者さんに値引きの交換条件として投稿を依頼する心境が筆者には理解出来ません。
どうやら筆者だけが知らなかったようで、歯科業界あるあるで、全国展開しているクリニックでは当たり前のようです。
教えてくれたひとによると、全国展開しているクリニックは大手のコンサルが入っていて、そこが指南しているとの事です。皆さんがよく知っている大手シンクタンク兼コンサルもしている●●●総研とかです。
なるほど、これか!と、思われる全国展開しているクリニックは存在します。そこは地域の中でもやたらレビューが多いは事実です。そして、どの分院もそのエリアでは何故か「良い評価」だけなのも不思議です。
「レビューが多い=依頼投稿」とは限りませんが、特定のクリニックだけ多いって事はおかしいでしょう。

もし、貴方が「治療費を割引くから5つ星のレビューを書いて」、とお願いされたらどうします?断ることが出来ますか?
断れない貴方はここから先は読まなくて結構です!
そもそも、メディア・リテラシーが無いので、この先読んでも貴方には意味がありません。
即刻検索ページにお帰りください!

マイナス評価は同業他者からの「妬み投稿」かも?

悪い評価が多いからって、本当に悪いクリニックでしょうか? ネガティブ(悪い)が異常に多いのは、実際に「悪いクリニック」の可能性もあります。しかし、「ライバルを蹴落とすため」の「妬み投稿」の可能性も否定できません。
地域内で優位を保ちたいがために、ライバルに不利益な投稿をする輩がいるのも事実です。
実は、筆者にも書かれた経験があります。
「女医の態度が悪い」と書かれました。投稿された時期に女性の歯科医師はいないにも関わらずです。もちろん、不当な嫌がらせの投稿なのでサイト運営者に削除依頼を出しましたが、消えるまで相当時間がかかりました。
世の中には、他人を貶(けな)したり、妬んだりする人がいます。愉快犯的な「妬み投稿」の餌食にされるのは、たまったもんじゃありません。
残念ながら、現時点では「妬み投稿」から防御する手立てはありません。

マイナス評価の直後に平均を上げるための「打ち消し投稿」

事実の「マイナス評価」を入れられると、むきになって自作自演で「プラス評価」を投稿し、平均点を上げようとしている事例もあります。
Google等のレビューをみていると、「マイナス評価」が入った直後に相当数の「プラス評価」が入るクリニックがあります。それまで、どちらの投稿も動かなかったのに、「マイナス評価」が入った途端に「プラス評価」がその数倍入るのは、明らかに変です。
下がった「マイナス」平均点を上げる為の、自作自演のプラス「打ち消し投稿」と思われます。時系列で見られるレビューでしたら、すぐにわかります。

投稿者の口コミ総数が少ないのは「やらせ」かも?

さらに気をつけなければいけないのは、投稿者の口コミ総数です。投稿が一つか二つしかない人が多い場合は「やらせ」かもしれません。
例えば、Googleの場合は1人で複数のアカウントを取得可能なので、名前を変えて複数の投稿もやる気になれば出来ます。他人を装っての自作自演も普通に出来てしまいます。

歯科は一人が同時期に何件も受診することは常識的に考えてあり得ません。投稿者が同時期に複数のクリニックを受診し、全てに投稿していたとすれば、これは常識的にあり得ないことです。
飲食やホテルなど他への投稿が全く無いのに、何故か同時期に複数のクリニックだけが多いのは、「やらせ」の可能性が疑われます。

歯科でもレビュービジネスが横行しています

では匿名ではなく、実名だったら信用出来るのでしょうか?
実名であっても十分注意しなければなりません。そもそも公表されている氏名が本当かどうかわかりません。私たちに確認する術がありませんので偽名の可能性もあります。公共のレビューに実名で投稿する人って個人情報の観点からも、まずいないと思います。
筆者だったら、絶対実名で投稿なんかしません。
次に、エリア的にありえない投稿です。例えば九州に住む人が東北地方の数件の歯科医院を評価しているのを見たとします。これって、不思議ですよね。さらに、投稿者の他の投稿を見ると、全国各地の医院に投稿されているのです。しかも、投稿内容文がほぼ同じですので、ビジネスライクな匂いがします。

前述の、Google、Amazonのレビューでも、ハンドルネーム、ペンネームではなく、たとえ実名ぽい氏名であったとしても偽名の可能性があります。
昨今、自分に都合の良い投稿したり、ライバルに不利益な投稿をしたりして双方が利益を得る、「投稿ビジネス」が横行しています。
たとえ実名っぽい名前であっても「投稿ビジネス」の可能性があります。実名(実は偽名)だからといって信用は出来ません。

マッチポンプの投稿ビジネス
先日、ある業者から来た営業の話です。以下はその内容です。

ホワイトブライトデンタルオフィス
理事長 阿部 正明様

お世話になっております。
先程受付の●●●様とお話しさせていただきました、悪質なクチコミの削除対策をしています、● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● の ● ● と申します。

元々、グーグルマイビジネス対策をしておりましたが、悪質なクチコミの削除希望が多かったため、悪質な内容が入っております病院様にお声掛けさせていただきました。
今回特殊な方法で削除対応をしておりまして、すでに多くの病院様のページも削除しております。
資料に費用が記載されておりまして、Googleマイビジネス対策の部分に書かれている2種類の費用になります。この費用は1件あたりではなく、一律の金額です。
一番下の口コミ対策は別途で追加する場合に発生するものになります。
資料だけですと分かりづらい部分もございますので、直接お伺いしましてご説明させていただきます。
説明については15分程になりますが、ご質問等ございましたらプラスアルファの時間を予定しております。
お伺い致しますのは●月●日から●月●日までになります。
日にちについては調整いたしますので、いくつか候補日時をいただけますでしょうか?
よろしくお願いします。

という内容でした。早速冷やかしで(笑)料金を問い合わせたら、なんと削除料金は1件につき20万円だそうです。もし、業者が「悪い投稿」していたら、マッチポンプですよね。これにお金払う人もいるからビジネスとして成り立っているのかと思ったら、世の中何もかも信じられなくなってきました。

以下要点をまとめます。
  • 同一エリア内で、なぜか特定の医院だけレビューや口コミが多い
  • 高い評価だけ、逆に低い評価だけ、と偏った評価が多い
  • 投稿総数が一つか二つの少ない人の割合が高い
  • 飲食店などのような歯科以外への投稿が殆どない
  • ライバルを蹴落とすための「妬み投稿」
  • 平均点を上げるための「打ち消し投稿」
  • エリア的にはありえない地域からの投稿
  • 投稿の内容が似通っている
  • 実名投稿だからといって信用出来るわけではない
  • 「投稿ビジネス」が存在していてマッチポンプの可能性もあります

レビューも口コミもダメなら、何を信じればいいの?

基本的に今の法制度では、匿名(実名?であっても)レビューも口コミも信用できません。 「アンオフィシャルの情報」のレビューが信用できないとなると、「オフィシャル情報」のホームページなら信用できるでしょうか?
筆者がホームページを見る時のポイントをお伝えします。

ホームページのウソを見抜く方法とは?

基本的に、自作自演や「やらせ」投稿をしているクリニックは、ホームページも自作自演の「盛り過ぎ」や「やらせ」の可能性がありますので、ホームページをよく観察するとウソが見えてきます。
ウソのホームページを作成するところは、投稿だってウソの可能性があります。
以下の記載があるクリニックは、レビューや投稿で評価が高くても要注意です。

1、自分で言うか?「選ばれている理由」

自分たちが自ら選ばれていると称するなんて、おこがましいと思いませんか?誰が、どのような基準で選んだかを公開している医院は見たことがありません。そもそも、歯科医院を選択をするための中立な第三者機関は日本にはありません。いかにも選ばれた医院のような誤解を招きます。これには騙されてはいけません。というか、筆者だったら自ら「選ばれている理由」なんて恥ずかしくて書けませんけど。

2、「痛くない」「腫れない」は誇大広告です!

まず、全ての患者さんに当てはまると誤認させるような表現は医療広告ガイドラインに抵触しています。完全にアウトです。「痛みを最小限におさえた」という表現だったら、ギリギリセーフかもしれません。筆者は神様ではないので全ての患者さんに「全く痛くない」とは言えません。
特にインプラントは手術が前提です。個人差はありますが、大なり小なり痛みや腫れはあります。
筆者は、患者さんの苦痛が最小となるように「静脈内鎮静法」や「全身麻酔」の配慮をしています。また、術後の疼痛腫脹を最小限に抑えるために、鎮痛剤や腫れ止めの点滴もしています。それでも「痛くない」「腫れない」とは断言出来ません。
「痛くない」「腫れない」インプラント手術ができるのは魔術師か奇術師だけでしょう。
「痛くない」「腫れない」は医療の良心が問われる表現です。
  • 最先端の歯科治療。最先端って?
  何をもって「最先端」なのかエビデンスがありません。「最先端」「最新」と言うのは勝手ですが、第3者が証明するものではありません。誘導表現ですので、モラル的にもコンプライアンス的にもダメです。もちろんホームページの規制にも抵触しています。
  • そもそも、最新が最良とは限りません。
  医療というのは大学等の研究機関が、一定期間に研究を重ねて安全安心が証明されてから、市井の医療機関へ導入されるものです。
昨今ネット社会の進化のためか、安全性の十分な確認もせずに臨床に取り入れる歯科医師も多いような気がします。
患者さんは「実験動物」ではありません。「最先端」を誇示する人は向上心も強いかもしれませんが、その陰で犠牲を強いられる患者さんもいるかもしれませんので、詳しく調べる必要があります。
  • 年間〇〇〇本の実績はウソかもしれません。
 患者さんには、◯◯本の実績が真実かはわかりません。適当に「誇大」ウソだって書けます。極論ゼロでも1,000本って書けます。また、多いからって偉くも凄くもありません。
 仮に、一人の歯科医師が審査診断をし、治療計画を立てて、埋入手術、2次手術、印象、上部構造装着などの工程を考えると、インプラントだけ(詰め物や根の治療、歯周病を専門医に紹介したとして)でも年間の埋入本数は歯科医師一人当たり500本が限界だとおもいます。その他に審美や歯周外科など他の治療も入ってくると、筆者の経験では一人の歯科医師が手がけられるのは、多くても年間300~400本程度ではないでしょうか?それ以上多いと、雑にならざるを得ません。
逆に、年間50本以下では少なすぎるので、機材や部材が十分整っておらず、スタッフも習熟していない可能性があります。
 筆者は、年間の購入本数が平均よりも多い様なので、インプラントメーカーからアワードやクリスタルが送られてきます。それらは客観的に購入本数(埋入本数では無い)を立証する手立てです。購入本数を確認したければ、見せていただくのも一つの手です。多くのメーカーが今でもやっていると思いますので、埋入◯◯◯本の真偽がわかる筈です。
筆者も年間500本超ではありますが、ホームページにあえて掲載するつもりはありません。事実を書いても、嘘を書いても立証が困難だから全く意味がないと思っています。
矯正も同じです。「年間◯◯◯件の実績」「国内トップクラス」の表記も証明するものがありません。
正直、言いたい放題の「盛りすぎホームページ」が野放し状態と言わざるを得ません。言った者勝ちといった感じです。
処罰が無いのが今の問題です。
  • 当地で〇〇年の実績は全く意味がありません。
 世襲している医院によく見られます。親の世代から30年、40年と時間が経てば歯科医療の内容も大きく変化します。〇〇年の実績は何の意味もありません。筆者の実家は、慶長7年(1602年)から400年続く農家でした。老舗の旅館や菓子店ならまだしも、歯科医院で〇〇年って言われても、だから何なの?って感じです。
 昔と今とでは、技術、社会情勢など全てが違います。むしろそのクリニックがこれからの未来の方向性にどのように目を向けているかが重要です。
  • 医師〇人体制は何を自慢したいのか全く理解できません。
 医師の数は、治療の質を担保するものではありません。よく、親子同族の歯科医院の広告に見受けられます。前述と同じで、世代が違うと治療の質、内容も大きく異なってきます。もちろん、常に勉強していて何歳になっても研鑽を続けている大先輩の歯科医師も多くみています。
 筆者のクリニックは後述する学会の専門医以上の歯科医師だけです。それであっても人数をセールスポイントにするつもりは毛頭ありません。
数が多くても半ば引退しているロートルでは駄目でしょう。それより大切なのは携わる歯科医師の資格などの資質です。
  • 「〇〇県からも来院されてます」はこのご時世はダメでしょう!
 いかにも、遠方からも来院されている特殊な医院のような印象を与えます。実際、その地域から来院されているかの真実は患者さんには全くわかりません。ホームページには何でも書けます。
ましてやコロナ渦でも遠方から来ているのを自慢しているのは時世との隔たりがあります。
  • 海外の〇〇大学のサティフィケート、ディプロマ(課程修了)は信用するな!
 日本の大学では稀ですが、海外では卒後研修コースを主催している有名大学があります。東海岸のニューヨーク大学、コロンビア大学、西海岸ならUSC,UCLAなどの北米の大学が多いようです。それらの卒後研修コースは、歯科医師なら試験も無く誰でも受講できます。
 正直、大して自慢できるものではありません。お金を払って受講さえすれば、歯科医師なら誰でも海外の有名大学のサティフィケート、ディプロマ(修了証)が貰えます。しかも、無試験で。
多くは月1回の日本で開催される土日コースで、期間も6~12ヶ月の短期間です。コースの最後にスクーリングで一週間程その大学に行きます。
 実は、筆者も過去にアメリカの有名大学のセミナーコースを受講したことがあります。
大多数が真面目に受講に来ていましたが、中には仲良し修学旅行気分でスクーリングに参加されたような集団もいました。
講義実習は、充実した内容でしたが、あくまで卒後研修です。海外留学とは異なります。あたかも海外留学したような印象を与えかねない記載をしているホームページが時々見受けられます。
もちろん、海外に数年間留学され、学位を取得している立派な歯科医師も数多くいます。
〇〇大学のサティフィケート、ディプロマは一応参考にはなりますが、留学して取得したわけでは無いので、歯科医師の実力を担保しているわけではありません。
  • 仲良しグループでつくった〇〇研究会の専門医、認定医
 仲良しグループでつくった、「〇〇研究会」や「〇〇アソシエート」といった、いかにも公共性のあるかのように謳った団体の専門医を見受けられることがあります。
専門医・認定医は公共性があり、取得条件が明確であることが重要です。筆者が認める信頼出来る認定医、専門医の代表的な学会は以下の通りです。

【インプラント関連学会】
日本口腔インプラント学会
日本顎顔面インプラント学会

【矯正関連】
日本歯科矯正学会
日本成人歯科矯正学会

【補綴関連】
日本歯科補綴学会
日本顎咬合学会

【歯周病関連】
日本歯周病学会
日本臨床歯周病学会

他にもたくさんありますが、代表的な学会を列挙させていただきました。
主観で挙げましたが、これらの学会には共通項があります。それはどの団体も、特定社団法人か特定非営利活動法人です。または「口腔保健協会」 (歯科学会を取りまとめている歯科医師会の外部団体)の所属です。つまり、皆公共性が高いのです。これが見極めのポイントのひとつです。
それともうひとつ。「国際〇〇学会」や「アジア〇〇学会」も怪しいです。各国の同種の学会が集まった「国際会議」などはありますが、筆者が知っている限り専門性の高い学会で「国際」や「アジア」と付くのは稀です。グローバルぽい名称ほど、偉そうに聞こえますが、実は会員数名のスタディグループだったりしますので、確認してください。

 それと専門医、認定医(専修医)の違いもあります。多くの学会は認定医より専門医の方が取得は困難です。ちなみに日本口腔インプラント学会では、これだけの違いがあります。

【専修医】(認定医)
正会員歴2年以上で、インプラントの知識と技術を有し、認定資格条件を満たしたうえで申請を行ない認定された正会員。

【専門医】
正会員歴5年以上で、インプラントの知識と技術を有し、認定資格条件を満たしたうえで専門医試験に合格した正会員

多くの学会も専門医と認定医(専修医)は大同小異です。
認定医も専門医の資格がなくても、優れた先生はいますので、あまり拘る必要は無いと思います。それよりも実力以上の「盛りすぎ」が問題です。資格を調べると「盛りすぎ」がすぐにわかります。
  • 「〇〇インプラントセンター」は誇大広告
 現在、日本では医療機関で「センター」と名乗れるのは、国や自治体、独法が経営する医療機関だけです。例えば「国立ガンセンター」や「仙台医療センター」といった、公共性が高く、本当の意味で先進治療を実施している医療機関だけです。開業医レベルでは「センター」という表記や標榜は認められていません。
ホームページは看板広告と扱いが異なるので、バレなければWEB上で「〇〇インプラントセンター」と表記は可能です。しかし、医療機関として登録されているわけではありません。「センター」は、いかにも公共性があり、専門性が高いように聞こえますが、国や自治体から認められた医療機関ではありません。「センター」で誘導しているクリニックはよくあります。騙されやすい表現です。
  • ビフォーアフターの写真掲載は難しい問題ですが・・・・
 まず、現時点で症例写真掲載には厳しい条件(料金、副作用、短所、予後などの詳細な記載)が課されており、写真だけをHPに載せているのは、厚労省の広告ガイドラインに抵触しています。何故ダメかというと全ての結果が上手く行くような誤解を与えるからです。したがって、現時点での殆どのビフォーアフターの写真掲載は法的にはアウトです。
 載せている症例は、たまたま上手くいったチャンピオンケース(最高の出来)かもしれません。偶然の成功したケースだけを掲載し、さも全ての症例に当てはまるかのような掲載も如何なものかと思われます。
 しかし、現状では歯科医師のレベルを知る手段としては、症例は有効であると筆者は思っています。実際、筆者も以前は症例を載せていました。症例だけは、他人のケースを無断でコピぺするのは犯罪ですから、大多数は自分のケースかと思います。したがって、歯科医師の実力を評価できる最良の手段だと思います。
 残念ながら、全ての患者さんに同じように適応するかのような誤解を与えてしまいかねないと言われれば、仕方ありません。
筆者は、受診された方にだけお見せしています。
  載せていないクリニックは、ルールを守っているコンプライアンス意識の高い歯科医院だと思います。それかチャンピオンケースすら無い歯科医院のどちらかです。判断は難しいですが、筆者目線で上記の問題ありのホームページと照合すると、ホームページに問題があるにもかかわらず、ビフォーアフターだけは何故か載せていない傾向があります。そんなクリニックは、もしかしたらチャンピオンケースすら無いのかもしれません。つまりは人様には見せられない臨床なのかもしれません。

まとめ

以下の記載のあるホームページは、「ウソぴょん」「誇大」「まぎらわしい」です。該当するホームページは投稿レビューだって虚偽の可能性が高いと思います。
  1. 自分で言うか?「~が選ばれている理由」
  2. 「痛くない」「腫れない」は誇大広告
  3. 実態が確認できない「国内トップクラス」「インプラント年間〇〇本の埋入実績」「年間◯◯件の矯正実績」
  4. 「最先端」が「最良」とは限りません。
  5. 意味のない「当地で〇〇年の実績」、「医師〇人体制」
  6. 特殊性があるかのような「〇〇県からも来院されてます」
  7. 公共性のない「仲良しグループの〇〇の専門医、認定医」
  8. 旅行ついでの海外の有名大学の「〇〇大学のサティフィケート、ディプロマ」
  9. 「〇〇インプラントセンター」には騙されるな。

    さらにレビュー数がやたら多いのは、

  10. 「値引」と交換の「依頼投稿」
  11. 「自作自演」のレビュー投稿
  12. 同業他社に対しての「妬み投稿」
の可能性が高いと考えられます。

矯正でも同じです。「インプラント」という単語を「矯正」に置き換えれば同じ事が言えます。 現時点では、実力を担保するのはレビューでもホームページでも無理です。

筆者が考えるのは「ミシュラン」の様な公平性があって、全くのバイアスが入っていない客観性のある視点からの評価、そして抜き打ちです。しかしながら、個人差が大きい医療をその様な方法で評価するのは不可能です。
情報として最も信頼性が高いのは、「経験者のナマの声」です。このご時世それも難しい。
これを読んで、納得のいく騙されない「インプラント選び」「矯正選び」をしていただければ幸いです。

著者 阿部正明

上記の著作物等を利用するときは、いかなる場合であっても、著作物等を利用しようとするたびごとに、著作権者等の許諾を受け、必要であれば使用料を支払わなければならない。